Meniere 病について

2017年6月13日 BLOG, 原田 拓
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Meniere 病について

分野:救急外来

メニエル病(BMJ 2014;349:g6544)

・再発性のめまいの鑑別で考慮するもので,新規発症のめまいのよくある原因ではない
・自然に改善する再発性のめまいが特徴
・発作は片側性の低音性難聴+耳のつまった感じ+耳鳴り
・初期は発作の間は正常だが,後期になると片側性の難聴や耳鳴りがある

・メニエル病の罹患率の報告に幅があるが…2010年の調査では米国で190/10万( Audiol Neurootol 2010;15:318-22.)
・プライマリ・ケア設定で5000人患者をみるとすると,慢性疾患がある人は5-10人
・30-50台で診断される
・一般開業医であれば新規発症をみることは数回程度
・フルタイムの開業医で新規発症のめまいに遭遇するのは年10-20例
・なので、メニエル病がプライマリ・ケア設定において新規発症のめまいの原因である可能性は非常に稀

・メニエル病の症状で最も典型的なのは内耳症状(聴力低下,耳鳴り,耳の充満感)を伴う再発性のめまい
・基本的には片側性だが最大30%で両側性(Proc R Soc Med 1971;64:853-7.)
・発作はまず内耳症状から始まり,その後めまいが出現する
・めまいのピークは急で,持続は20分~数時間。24時間以上続くことはない。

・メニエルの初期段階ではめまい症状 or 内耳症状のみ起きることがある
・1/4の症例で初期症状がめまいのみであった報告がある(Am J Otol 1996;17:883-892.)
・初期にめまい,耳鳴り,難聴の三徴がそろったのは1/3だった(Am J Otol 1996;17:883-892.)
・数年後には症状はそろう。なので数年来のめまい症状で内耳症状がない患者はメニエル病の可能性は低い。

・初期には聴力障害や症状は完全に戻るが,後期になると難聴の進行と持続性の耳鳴りになる
・5-15年後には「burns itself out」の状態になり,めまいは消失し,中程度の難聴と軽度の耳鳴りやふらつきとなる
・ある研究では重症で手術を拒否したメニエル病の患者は2年後には60%,8年後には71%の人が大部分の症状が改善していることがわかった(Otolaryngol Head Neck Surg 1989;100:6-16.)

・難聴の平均は50db(Otolaryngol Head Neck Surg 1989;100:6-16.)
・10%未満だが突然の転倒(drop attack)をおこすことがある
・メニエル病の発作時には水平眼振があってもよい

・鑑別診断は椎骨脳底動脈のTIA,外リンパ瘻,聴神経鞘腫
・メニエル病は臨床診断だが,めまいの病歴と聴力検査での片側性低音声感音性難聴の存在はメニエル病を強く示唆する
・メニエル病が疑われる患者は全例聴神経腫瘍のスクリーニングのためにMRIをするべきである
・古典的なメニエル病であれば生活習慣の調節,抗ヒスタミンやベタヒスチンなどを精査紹介するまえに3ヶ月ほど行っても良い

・メニエル病の診断をしたら3ヶ月の生活習慣の是正とベタヒスチンのトライが適切である
・急性発作が引き続き起こる場合は介入治療を検討する
・転倒発作がある人には積極的な治療が必要な可能性がある
・GMの内耳注射は強力なエビデンスがある
・必要に応じて補聴器が処方され,リハビリも有効

・メニエル病の症状は心理的影響を与えることがあり,不安,うつ,広場恐怖などをおこすことがある。パニック発作や過換気を伴うことが有る。

・発作期の治療はプロクロルペラジンのようなフェノチアジン系の薬が使われる。抗ヒスタミンやBZOも使われることが有る。(ただし短期間に留める)

・発作予防の食生活や生活習慣への介入はエビデンスがなかった
・塩分制限の有効性の研究も有るが古く少数の研究である
・カフェインや飲酒の制限をとなえる人もいるが偏頭痛のトリガーと同じでありメニエルの誤診の可能性もある

・発作予防にベタヒスチンの有用性の報告がある(Cochrane Database Syst Rev 2001;1:CD001873)
・利尿薬のエビデンスは認められなかった(Cochrane Database Syst Rev 2006;3:CD003599.)
・ステロイド鼓室内投与はいくつかのエビデンスがある(Otolaryngol Head Neck Surg 2005;133:285-94. Otol Neurol 2008;29:33-8.)
・GM鼓室内投与は有用性が報告されている。17%で難聴が悪化したが,71%でめまいは完全に消失し,87%でコントロールされていた

・英国ではメニエル病の患者は運転免許期間と自動車の保険会社に通知する必要がある
・発作を起こさなければ運転継続可能だが,発作のコントロールができなければ3ヶ月は運転できない

 

Lancet 2008; 372: 406–14

メニエル病は慢性疾患,数分~数時間持続する断続的なめまいが特徴的であり,感音性難聴,耳鳴り,耳閉塞感を伴う。現在のところ治療法がないが85%は生活習慣,内服,低侵襲手術(鼓室内ステロイド,鼓室内GM,内リンパ手術)などで加療できる。迷路切除は最後の手段であり片側性の難聴の患者に適している。

メニエル病の疫学はあまりわかっていない
フィンランドの報告では43/10万,年間発生率は4.3/10万であった(Laryngoscope 1999; 109: 748–53.)
女性は男性の1.3倍ありわずかに多い
30-40台の発症が多いが小児でも報告がある
(遺伝/家族歴に関しては省略)

メニエル病の臨床像は難聴,反復性めまい,耳鳴りが含まれる。典型歴には上記の3症状が出現し,めまいは数分~数時間持続する。ほとんどの患者は片側性だが,ときに両側性に進展する患者もいる(50%の報告もある)。

メニエル病の診断は臨床診断
必須のテストには聴力検査,ビデオ眼振,蝸電図法とカロリックテストが必要である
カロリックテストでみられる片側性前庭機能低下は重要
MRI検査は聴神経腫瘍などの器質的疾患の除外に有用である
CT検査はほとんど価値がない

季節性アレルギーや免疫複合体とメニエル病の関連の報告がある(Otolarynol Clin N Am 1992; 25: 213–24.J Allergy Clin Immunol 1979; 63: 300.)

アレルギーに対する免疫療法によるメニエル病の症状が改善した報告がある(Otolaryngol Clin N Am 1997; 30: 1007–16.)

カフェイン,チョコ,アルコール,塩分をさけるように指導するがこれらのメカニズムは不明
利尿薬とメニエル病の関連がないことが最近の研究であきらかになっている(著者らはそれでも安全であることから利尿剤を推奨している)

※治療に関しては省略

 

UTDのメニエル病/Topic 6859 Version 33.0/抜粋

・20-40台発症が多い
・小児でも発症の報告があり内耳の先天奇形との関連の可能性がある
・発生率は10-150/10万人,両側性は25-35%(10-50%)

・臨床症状は反復性めまい,感音難聴,耳鳴り
・めまいは回転性か浮遊性,悪心/嘔吐を伴い,20分~24時間持続する
・平衡障害やその他のめまい症状をうったえることが15%ある
・聴力障害は時間がたつにつれて進行し8-10年で永続的な難聴を生じることが有る
・耳鳴りは低い音(貝殻や機械のような)
・症状や経過は個人差がある。

・診断には「2回以上の20分以上継続するめまい」「聴力検査による感音性難聴」「耳鳴りや耳充満感」が必要

・加えて幾つかの検査が必要
→聴力検査は疑いのある全患者で行うべき
→前庭機能検査は初期には正常だが最終的には患側で異常がでる
→梅毒の除外は行う
→MRI検査をその他の疾患の除外のために行う

・鑑別診断
→聴神経腫瘍
→多発性硬化症
→TIA
→偏頭痛
→その他:糖尿病,甲状腺疾患,Cogan症候群

(治療に関しては省略)