耳朶のシワ/ Frank sign について

2017年5月7日 BLOG, 原田 拓
Print Friendly, PDF & Email

耳たぶのシワ/Frank signに関して

今回はややマニアック(?)な身体所見「耳たぶのシワ」に関して調べてみたまとめです。論文だとDiagonal ear lobe crease(DELC)という名前がつかわれています。個人的にはFrank signのほうが使いやすくて好きです。

結論からいいますと

①文献でばらつきはあるが…メタアナリシスでは冠動脈疾患に対して感度62%特異度67% OR 3.3(Int J Cardiol. 2014 Jul 15;175(1):171-5)とそこそこ。

②高血圧,喫煙,糖尿病などの動脈硬化疾患とは相関せず独立した冠動脈疾患の危険因子である(Ir Med J. 1992 Dec;85(4):131-2.)

③冠動脈CTangiographyとの比較では感度78%特異度43% OR 1.8-3.3(Am J Cardiol. 2012 May 1;109(9):1283-7)

です
 
 
耳たぶのしわ/Frank sign/Diagonal ear lobe crease(DELC)のうんちく

Frankが1973年に報告(N Engl J Med 289:327, 1973)
1974年に入院患者でDELCがある人が有意に冠動脈疾患があることをしめした(47% vs 30%)(N Engl J Med 290:615, 1974)
うっ血性心不全で死亡されたと考えられるハドリアヌス帝の像にはみみたぶのシワが記載されている( West J Med 132:87, 1980)
 
 
ハドリアヌスって誰!?

ハドリアヌスはテルマエロマエにでてきたローマ皇帝
漫画にでてくるローマ帝国関係者を時代順にまとめると…

アレクサンドロス,エウメネス(ヒストリエ):紀元前356年頃に生まれる
ハンニバル,スキピオ(ドリフターズ):紀元前236年に生まれる
ハドリアヌス(テルマエロマエ):紀元後76年に生まれる

こんな感じです

ヒストリエとドリフターズは面白い漫画なので無理やりからめて出しました
 
 
耳たぶのしわ/Frank sign/DELCに関して

DELCはCAGの所見に対して感度51%特異度94%陽性予測71%陰性予測88% 喫煙,高コレステロール,高血圧,PAD,脳卒中の既往とは無関係(Ir Med J 85:131, 1992)

DELCはCAGの所見に対して感度51%特異度85%陽性予測89%陰性予測41%。高血圧,喫煙とは独立して有意に相関していた(Dermatology.209:271, 2004)

DELCを8-10年追跡した研究では心血管イベント(突然死,非致死性心筋梗塞,CABG)はDELCで10.4/100人年,DELCなしで1.4/100人年と有意にイベントが多かった(Am J Med 91:247, 1991)

DELCは冠動脈疾患のリスクで冠動脈疾患のリスクが高い人(4つ以上)でより有意な傾向があった(Medicine (Baltimore). 2015 Jul;94(26):e815.)
 
 
耳たぶのしわ/Frank sign/DELCと冠動脈CTangiography

DELC/Frank signと冠動脈CTangiographyを調べた研究(Am J Cardiol. 2012 May 1;109(9):1283-7)では

DELCはCADのリスク OR 1.8-3.3
感度78%特異度43%
陽性予測値77%陰性予測値45%
検査精度は67%
ROCは61%
DELCは冠動脈CT所見と関連あり

という結果でした
「パッと耳をみる」だけで得られる情報にしてはそこそこ価値がありそうな印象です
 
 
耳たぶのしわ/Frank sign/DELCとその他の文献

ほかにも頸動脈疾患との関連を示唆する文献(Circ J. 2009 Oct;73(10):1945-9)もあれば冠動脈疾患に関してNegativeな研究(Aust N Z J Med. 2000 Oct;30(5):573-7)ややそもそも男性>女性で健康な人でもある(Anthropol Anz. 2000 Sep;58(3):309-15.)という報告もありまだまだわかっていないこともおおそうです