クレブシエラ菌血症に関する知識update

2017年4月22日 BLOG, 原田 拓
Print Friendly, PDF & Email

クレブシエラ菌血症に関する知識update

クレブシエラ菌血症のフォローアップに関する論文

Can a routine follow-up blood culture be justified in Klebsiella pneumoniae bacteremia? a retrospective case–control study(BMC Infectious Diseases 2013, 13:365)

Klebsiella pneumoniaeの菌血症で80.7%でフォローの血液培養を採取され7.2%が陽性だった。リスクとしては「腹腔内感染症(OR 2.99)」「重症度が高い人」「固形臓器移植(OR 92.23)」「治療への反応が不良(発熱,WBC上昇,CRPの減少がない,が2dたっても2つ以上ある)(OR 4.79)」があった。
「腹腔内感染症」「院内発症」「2dたっても発熱」「2dたってもCRPが減少しない」の項目のうち全部なしあるいは腹腔内感染症のみであればフォローアップの血液培養が陽性になるのは4.9%のみ。
Klebsiella pneumoniaeの菌血症は稀でありリスクがなければフォローアップの血液培養は不要かもしれない。

Occult Klebsiella pneumoniae bacteremiaの論文

Occult Klebsiella pneumoniae bacteremia at emergency department: A single center experience(J Microbiol Immunol Infect. 2015 Dec;48(6):684-91.)
88人が血液培養採取後帰宅となったあとにKlebsiella pneumoniaeが陽性になった。43人がER再受診となり38人が入院となった。
再受診になった43人の診断は
→UTIが18.6%
→肝膿瘍が37.2%
→胆管感染症が16.3%
→他の腹腔内感染症が18.6%
→皮膚軟部組織感染症が7.0%
予後は直接入院となった症例より帰宅したOccultBacteremiaのほうが予後がよかった。(過去の大腸菌や黄色ブドウ球菌の報告ではoccult bacteremiaは予後が悪いということなので相違のある結果となった?)

Occult Klebsiella pneumoniae bacteremiaの論文

Incidence, Risk Factors, and Outcomes of Klebsiella pneumoniae Bacteremia(Am J Med. 2009 Sep;122(9):866-73)
・クレブシエラ菌血症のリスクは高齢者,透析(RR 57.8),固形臓器移植(RR 43.3),慢性肝疾患(RR 54.2),悪性腫瘍(RR 28.1)
・感染源で多いのはPrimaryが30%,胆管が19%,泌尿器生殖器が25%,腹腔内が10%,肺炎が8%
・死亡のリスクになるのは加齢,院内発症,心疾患,脳卒中(OR 3.1),アルコール依存(OR 3.4),関節RA(OR 6.8)。市中発症(OR 0.2),胆管感染症(OR 0.2),泌尿器生殖器感染症(OR 0.4)は逆にリスクが下がる。
・7.1/10万人年で発生し,1.3/10万人が死亡する

そのほか追加の知識(Ref:UTD)

クレブシエラ菌血症の感染源は30-47%で不明(Arch Intern Med. 2002;162(9):1021. Am J Med. 2009 Sep;122(9):866-73.Antimicrob Agents Chemother. 2006;50(2):498.)
特に院内発症の場合は不明になりやすい
東アジアでは肝膿瘍の有病率が高いので肝膿瘍の評価が必要(特に適切な抗菌薬投与をしても発熱が持続する場合)
クレブシエラはCRBSIの原因では5%(Clin Infect Dis. 2004 Aug 1;39(3):309-17)
感染性心膜炎になるリスクは非常に低い(1/86)(Clin Infect Dis. 2004;39(3):309)。臨床的に疑いがある場合や高リスク(新規の心雑音,人工弁)などの場合はTTEやTEEによる評価を行う。